礼拝メモ 9月13日

聖書 マルコの福音書5章21節-43節

 マルコの福音書は、「すぐに」とか「すぐ」と訳された言葉がたくさん出て来ます。これは、活動的だったローマ人に受けるタイプの文章でした。この箇所にも、29節、30節、42節に出て来ます。

 この5章には、三つの奇跡が記されています。最初は、レギオンの霊につかれた男の人の癒し、次は12年の間、長血で苦しんだ女性の癒し、三つ目はヤイロの12歳の娘の蘇生です。こんなすごいことをなさるイエス様のことが書かれているので、ムーディーという伝道者は、この5章はマルコの福音書の中で最高潮の章だと言いました。

 最初の奇跡に出てくる「レギオン」とは、ローマの軍隊の単位で、6000人の歩兵の集団を表す言葉です。この男の人に6000もの悪霊が入っていたとは言えないかもしれません。ですが、2000頭の豚が湖になだれ込んで死んだのは、その悪霊が出て行って豚に入ったからなのです。それは、イエス様が「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言われたからです。イエス様の言葉の力、権威の強さに驚きます。

 次に記されているのは、ヤイロがイエス様の足もとにひれ伏して願った、「死にかけている」自分の娘を癒やしてほしい」という姿です。ヤイロは会堂司ですから、人々から信用され、尊敬されていた人です。その人が周りの人にどんなに思われるかを気にせずに、ひれ伏して願ったのです。イエス様は、快く引き受けて、ヤイロの家に向かいました。

 そこに分け入ったのが、長血をわずらった女性でした。12年も苦しんできた病気の癒しを求めて、主イエス様の衣に触ったのです。医療費に財産を使い果たし、汚れた者として寂しい生活をしていた女性の、小さな、しかし切々とした信仰でした。ヤイロは気が気でなかったでしょう。でも、イエス様は落ち着いていました。

 衣に触った人に、もう汚れた者としてでなく、健康な生活を保証するように、イエス様は「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。苦しむことなく、健やかでいなさい」と声をかけてくださったのです。

 そこに、ヤイロの家から使いがやって来て、「お嬢さんは亡くなりました」と告げられたヤイロは、どんなにうろたえたことでしょう。しかし、そばで聞いたイエス様は、「恐れないで、ただ信じていなさい」と声をかけてくれました。女性の信仰を認めたイエス様が、ヤイロに信仰を求めたのです。「ただ信じていなさい」とは、「ただ私の手に任せておきなさい」という意味です。

 亡くなった娘の所に案内するヤイロは、周りの人たちの冷たい目を意識したかもしれません。今さらイエスを連れて行ってどうするんだ、と。でも、イエス様が信じ続けなさいと言われるのですから、天地を造られた神様の手に委ねるより他にしようがありません。まさにイエス様こそ天地を造られた方です。ヤイロの家で、イエス様は「少女よ、あなたに言う、起きなさい」と声をかけ、死んでいた娘は生き返りました。

 この、イエス様の言葉の持つ力強さと配慮のある慰め、この方こそ、私たちの主イエス・キリストです。ハレルヤ。

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