聖書 ルカの福音書5章12節〜16節
タイトル 「イエスとその心」

 およそ30歳で伝道活動を始めたイエス様は、ガリラヤ地方での伝道拠点としてカペナウムを選びました。ここを中心に、何度かガリラヤ地方を伝道して回りました。前期のガリラヤ伝道の様子を見ていきます。
 この箇所には、ツァラアトのことが記されています。この病気は、現代の医学では特定できない病気です。しかし、イスラエルでは、汚れが伝染する病気として恐れられ、この病気になると隔離され、社会生活ができないのです。人が近づけば、自分から「汚れている」と叫んで、近づかないようにしなければなりません。孤独と貧しさを強く味わう病気なのです。
 さて、この箇所に出てくる人は、全身にツァラアトが広がって、つらい生活をしていたのです。同じ病気の人たちと暮らしながら、世の中のうわさを頼りに生きていました。その中で、ナザレのイエス様がいろいろな奇跡を行い、その教えについても少しずつ伝えられてきました。この人の心に希望が芽生えます。
 ある日、彼は、イエス様の前に出て行きます。頭を地面につけて、お願いします。「主よ、お心一つで私をきよくすることがおできになります。」たくさんの病人を癒やしておられるとしても、ツァラアトの自分は直してもらえるだろうか、心配でした。でもお願いしたのです。「お心一つで」という条件がだめならおしまいです。
 そんな必死の願いをきいて、イエス様はすぐに答えます。「イエスは手を伸ばして彼に触り」とあります。この病気になって、人に触られたのは何年ぶりでしょうか。彼は、イエス様の手の感触を、身震いしながら感じていました。なんて優しい手だろう。
 イエス様は、「わたしの心だ。きよくなれ」と言われました。すると、ツァラアトは消えたのです。あのナアマンのツァラアトのように、消えたのです。イエス様はさらに、祭司の見せ、きよめのささげ物をするように言いました。それは、この人のこれからの生活のためでした。
 人々がイエス様の教えを聞きたい、病気を癒やしていただきたいと、押し寄せるとき、イエス様は静かに祈るために退かれました。
 この出来事は、イエス様の優しさが際立っています。またその御力の素晴らしさも、また将来を配慮する恵みも表しています。そして、イエス様は、私たちのからだだけでなく、心のきよいことを願う心を持っていました。聖い心とは、愛に満ちた心です。「きよくなれ」とのみ声を聞きましたか。

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